top of page

​コミュニティとサポート

「フリースクール」は3種類ある 

①適応教室:原則的には学校復帰を目標としている公的な教育施設。現在は、名称を「教育支援センター」に変更しているが、設置目的や対象が不明瞭になることから通例で「適応教室」が使われることが多い。

②不登校児童生徒の居場所・フリースペース:学校教育の学習サポートや、安心できる居場所として教科学習を強制せずに自主性のある活動が主となる。

③学校教育以外の教育と学習の場:オルタナティブ教育であり、学校教育とは異なったカリキュラムやこども観を持ち、運営者の教育方針(教育方法や教育メソッド)がある。​

《フリースクール》はそれこそ自由な教育の場であり、スタイルも様々です。

 学校や行政へ問い合わせると「フリースクールはありません」という返事があるかもしれません。それは適応教室(教育支援センター、教育研究所)だけであったり、委託事業して連携している民間の教育施設が当該市町村にはないという意味です。

 逆にこれらをフリースクールと称することもあります。

 行政や学校が案内できるのは活動内容や参加時のトラブルに行政と学校が対応可能な施設のことであると心得てください。

 そのほかのフリースクール等はみずから探し、みずから確認し、信頼関係をつなげていくのがほとんどなので情報収集が鍵となります

「ホームスクーリングの学習サポート」は
2つの傾向がある 

 

①学校教育の学習指導要領に沿ったカリキュラムを、自宅で学習する

・プリントやインターネットによる通信学習

・塾等が提供する在宅学習者向けの出張サポート

・家庭教師(おにいさん、おねえさん派遣)

・アンブレラスクーリング(在宅学習実践者グループによる共有カリキュラム)

 メリット 

 文科省通知にある指導要録上出席にできる条件を兼ね備えている民間塾によるホームスクーリングサポートや企業が提供する在宅学習者向け教材サービスや電子コンテンツがある。

 個人の学習ペースに合わせて学習を進めることができるサービスも増えている。

 個々の学習進度にあわせて学年の学習単元を戻った学び直しも可能。

 学年カリキュラムに対応したコンテンツは指導要録に記録できる評価対象としての活用できる。

 こどもの自主性に任せたその時々のホームスクーリング教材として「学校教育の内容をまなぶ」時に活用できる。

 ホームスクーリング教材やプログラムを提供している塾やフリースクールでは、通学生も参加OKのものとして塾が提供する授業の一部に参加したり、フリースクール活動に部分参加できるケースもある。

 復学を予定している場合は有効である。

 

​  注意点  

 有料・無料がある。

 学校復帰を目的とした委託事業の民間教育施設ではカウンセリングの役割も担いながら家庭で過ごす不登校児童生徒を対象として家庭学習指導やアドバイスがおこなわれている。

 「勉強についていけないことからおこる不登校」という考えが根強いことから「勉強に遅れないため」の教育機会であることが多く、こども本人の学習意欲あるいは心身の休養を必要とする状態とマッチングするかどうかが課題ともいえる。

​ 場の管理責任者の姿勢による影響も大きく、子どもにあった場であるかどうかを確かめることが重要になる。

 学習に活用することで「出席扱いになります/評価になります」とあっても、その決定は校長裁量によって決定されるなので、家庭から学校への交渉が必要となる。ただし自治体や学校で採用し、家庭に案内されている場合もある。

 

​ こちらへ⇒学校教育在宅学習教材のヒント


 

 

②独習スタイルを確立する

 自由教育としてのホームスクーリングの学習サポートは、個々がもとめるまなびに応じて「教科学習」とは異なったさまざまな学習機会を活用することができる。

 

・大学オープンコースウェアの活用

・無料学習動画の活用

・書籍

・学習アプリ

・テーマを決めたチーム学習(アンブレラスクーリング)

…等、多様性に富んでいる。

 メリット 

 インターネットを利用することができる環境があれば、いっそう情報は膨大にある。

 学び直しと先取り学習の両方が可能。

 さまざまな提供ツールを組み合わせて、独自のカリキュラムで進めることができる。

 学術的な学びにつながる

 自分の興味関心を深く広く追究できる。卒業や期限など時間的制限もない、研究者のようだ。

  注意点  

 有料・無料がある。購入費を検討する必要がある。

 膨大な情報から適したものを探し当てるまでの時間や労力が必要。

 学習指導要領に沿った学習課程の範囲を超えることから、在籍校で「出席扱い/評価」に反映されることは難しい。

 提供される学習カリキュラムは、社会教育的な学び直しの学習機会のための提供であることも多く、学校教育的な学習習慣や基礎知識がないと適さないことも多い。

 復学を考える場合は、別途、学校教育の学習をする必要が生じる。

 あらかじめ短い期間に設定して実践することも可能だが、復学を目標においているときは学校生活に適応できる学習習慣・生活習慣の維持をする必要がある。

 こちらへ⇒ホームスクーリング教材のヒント

 

 家庭で話し合う必要がある家庭方針です。

 学校観、教育観、人生観などのさまざまな価値観について家族で話し合う機会が必要となります。それは初めての経験になるかもしれません。

 もしも互いに「価値観が違う」と感じても、それは悪いことではありませんから、どうぞ落ち込まないでください。価値観の違う人間同士が家族という仲間でこれから生活を共にすること、まさしく多様性に寛容な生き方を実践する第一歩なのです。

​ 問題は価値観の相違ではなく、互いの生き方を尊重しあえるかどうか、です。どこまで譲ることができるかということもあるでしょう。ここからは譲れないという線も明らかになるでしょう。新たに自分の内なる想いを深くする機会に恵まれます。どうかそれを怖れないで、責めないで、許しあってください。そうすれば、外部の刺激や誘惑に対して具体的な策が浮かびますし、家庭哲学(ポリシー)が家族の中で創られ、毅然とした態度で、家庭それぞれのホームスクールに臨むことができるはずです。

 価値観を認めてもらう必要はありません。それが正しいと証明する必要もありません。ただ「違いがある」ことを受け容れる準備をしていてください。その準備は、ひとりひとりの心のなかの整理と片付けにもなることでしょう。

ホームスクール家庭でカリキュラムを共有する

 (アンブレラスクーリング)

自由な教育メソッド

・フレネ教育

・ギフテッドプログラム

・どんぐり倶楽部

・シュタイナー教育

・モンテッソーリ教育

・ドーマン指導法(脳障害児のための発達成長プログラム)

・発達凹凸プログラム

・ハワード・ガードナーMI理論(8つの能力)による学習アプローチ

・「気質・才能・興味・モダリティ(感覚の様式)・環境」5つのラーニング・スタイル

・・・等、その他の自由なプログラムを活用するグループを作る・参加する。

グループ活動趣旨の傾向

 1. ホームスクール家庭に極力限定し、同じ境遇であるゆえに「共通する悩みを言える」場作り

 2. ホームスクール家庭に限定せず「知り合う機会の少ない人と知り合える」場作り

 3. さまざまな背景を持った「すべてのこどもたちが交流できる」場作り

 4. 親のための活動(情報交換や学習機会)

 5. こどものための活動(親主体か、こども主体かの違い)

 ・・・その他

 メリット 

 多くのコミュニティグループが誕生することで、複数のコミュニティに参加することができるようになる。

 広い視野、いろいろな考えや価値観、思想に触れることができる。

 

  注意点 

 グループ立ち上げの理念はグループの数だけ存在する。

 活動趣旨が不明瞭だと、参加者の期待とはかけ離れてしまう。

 個人で立ち上げた私的な集まりの場合、活動中のけがや事故に対応できるのかなど、対応マニュアルがあるかを確認する必要がある。

 必ずしも専門性を持ったいえるとは限らないこと。(こどもの成長発達に応じて適した態度、参加者ひとりひとりの気持ちを汲み取り、丁寧に言葉を置き換えてコミュニケーションを図るなど。)

 運営費、参加費、活動費、会費等々の取り決めが明確であるかどうか。

 個人情報の取り扱いなど配慮されているか。

 グループの活動が安定して継続できるか。

 グループのメンバーはゆるやかな子育ち・親育ち・人育ちの場に形成されていくことで地域とのつながりを太くする機会へと成長し、社会の中で安心してすべてのこどもたちが育まれていくようになると期待しています。

 グループのメンバーの最小単位はひとつの家庭です。まずひとつが存在することから各々のステーションが線路でつながっていくようにひろがっていくことでしょう。

 まずは親子の活動からなのです。

家族(親・保護者)のサポート

 

ファミリーサポートセンター(各自治体)

 

 公的機関です。おおよそ乳幼児から小学生のこどものいる家庭であれば誰でも登録することができ、登録サポーターのサポートを依頼することができます。有料ですが、おおむね1時間あたり600円程度で、自治体によりますが知人のサポーターですと任意の金額で依頼することもできます。自治体ごとで開催するサポーター養成講座を受講するとサポーターに登録することができ、依頼を受けることができます。​公的機関が万が一のときの保険を用意しているので安心です。病児保育の受け入れは各自治体により異なります。

 サポーター養成講座の受講は、防災や救急救命講座など役に立つものが多くあります。救命救急講座は消防署が提供する講座も随時、受講することができます。各自治体に問い合わせるといいでしょう。そのほか自治体主催のさまざまな社会教育講座をみつけることもできますので市報などチェックするといいですね。

 サポーターさんには仕事の兼ね合いから定期的、長期的に依頼することもできますし、家庭方針に理解を示してくれるかたをマッチングで検討する時間も充分にあります。地域の身近な理解者と出会う機会にもなりえます。

ワーカーズコープ(労働者協同組合連合会)

 サポートを提供する側も受ける側も、生協組合員同志の利用です。コーディネーターを通して、サポート期間など相談しながら依頼することができます。有料ですが、生協ならではの親切な料金設定だと思います。地域のつながりがひろがるコミュニティです。

AsMama 子育てシェア

 民間企業です。ファミリーサポートセンターが自治体地域のみやサポートを受ける場所が自宅のみであるなどの制限があるのに比べて、全国各地どこでも利用できる利点があります。保険加入もありますが適用できる年齢や、サポーターの資格条件など、ファミサポとは違いがあるので、HPをよく読みこなし、自分で仕組みをよく理解したうえで利用する必要があります。

 知り合いをつなげてつくる子育てシェア・アプリです。

 ホームスクール家庭の集まりやグループ活動で活用できる点は大いにありそうです。


 

生涯学習人材バンク

 「生涯学習人材バンク」で検索してみましょう。各自治体のホームページが出てきます。

 各自治体には、市民が登録する人材バンクの仕組みがあります。利用方法は各自治体によって異なります。もちろん自身が登録することもできます。現役を引退した元専門家や自宅でこじんまりと教えたい人などの登録があります。直接問い合わせにより相談して進めることができます。(自治体により仕組みは異なるかもしれません。)

 得意なことを提供し、互いにまなびあえる仕組みです。年齢集団にこだわらず、幅広い背景の人との出会いが期待できます。

 メリット 

 地域社会からのサポートはホームスクールをするうえでおおきな支えになりえます。

 地域の子育てサポートを探ることで、地域との関わりという環境と機会を整えることができます。

 

 注意点 

 過疎地域では人がいないため活用できる機会が無いこともあり、地域格差のひとつでもある。その場合は類似の支援事業などを探してみること。

​ 地域に根差しているNPO団体や市民活動をチェックする。

 

 地域にこれらのサービスが無い場合、自ら立ち上げる、設立する動機になるかもしれません。地域の特性を生かした新たな事業やサービスの展開につながると、次世代のこどもたちに長く利用され、愛される活動へと発展していくかもしれません。

 それはなにも「特別な人」が興すものではなく、「始めた人」が生んできました。

 そういった活動はすでに全国各地でつぎつぎを誕生しています。

 『人に逢う』ことで可能性はひろがることでしょう。

 どうかあなたのステキな未来につながりますように。

 公的な援助制度

 

就学援助制度 ;各自治体によって条件や内容が異なります。現行制度では、たとえ学校に登校していなくても、登校する意思が無くても、在籍生徒ですので、就学援助制度の対象になります。遠慮せず、相談・申請しましょう。

 在籍する学校に登校しない日が長期的だと見込まれる場合は、無償で提供される教科書を受け取る以外では、校納金(給食費、副教材費、ドリル、テスト、ファイル、行事参加費、PTA会費など)を納める必要もなくなります。

 「学校へ復帰したときにスムーズに学校生活になじめるようになるため」という理由付けでこれらを継続することが配慮だと考えられることもありますが、そうでない場合は積極的に家庭から申し出ることをおすすめします。学校からはその配慮から言い出しにくいものです。事務的手続きですから、早めに済ませてしまいましょう。

​ それらの費用をホームスクールなりに活用することができます。

 1日も学校へ登校していなくても在籍生徒ですから、学校や教育委員会を通して活用できる制度は遠慮せず活用してきましょうね。自治体のこども課・家庭支援課なども活用できる支援があります。役所へ出向いて情報を収集していきましょうね。社会制度を知る学びの機会にもなります。

​ 「このようなことに使える支援を探しています。」と具体的にすると、案内する側もどれを紹介してよいのかがわかりやすいものです。曖昧な表現ではなく、具体的な内容で伝えることを心がけてくださいね。

フリースクールは3種類ある
学習サポート2つ
カリキュラムを共有する
家族サポート
公的な援助制度
​情報公開日2017年1月5日
bottom of page