知っておきたい用語
用語解説をしています。
学校対応のとき、学校に要望をするとき、また学校からの説明を受けるとき、あやまった解釈をすることのないよう、意味と意図を理解しておくと、意思疎通の手助けになります。
普通教育・義務教育
「普通教育」「義務教育」は教育基本法と学校教育法に明記されているが、その意味は同音異義語として解釈すべきであり、「義務教育=学校教育」というような義務教育期間の普通教育が学校教育に限定されているような間違った認識を改める必要がある。
(教育基本法)
第二章 教育の実施に関する基本
(義務教育)
第五条 国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする
(学校教育法)
第二章 義務教育
第十六条 保護者(子に対して親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。以下同じ。)は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
※参考記事 「普通教育とは何か・普通教育の意味と義務教育との違い」(2018年)
教育基本法第3条(生涯学習の理念)
第三条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。
教育権 学習権
『変えよう!日本の学校システム 教育は制度がネックだ』(平凡社 2006年) 古山明男著
『良心の自由と子どもたち 』(岩波新書 2006年) 西原 博史 著
『『はらぺこあおむし』と学習権―教育基本法の改定に思う』 (一ツ橋書房 2007年) 大田堯
『図解でわかる憲法 (入門の法律)』(2008年)高野 泰衡(著)・伊藤 真 (監修, 監修)
シリーズ「にほんでいきる」毎日新聞(2019年01月07日~) ※書籍はこちら
参考記事
学びの多様性を尊重できるラーニングダイバーシティへ②-特別支援級における「学習権の侵害」。脳科学からみる能力の多様性。(2020/03)
不登校の日本とアメリカの違いは?意識や制度・ホームスクーリングについても(2019/07)
市民発の立法 教育機会確保法を考えるー西原博史さんの講演ー
【ピックアップ】ホームスクールと権利について考えるnote
kokage | note
『休校要請から~その⑥ リモート学習と家庭学習の発展(前編)』
『教育機会確保法の成立前と後で、教育権の認識はどう変わったか』
出典 kokage マガジン
ホームスクールをはじめよう~日本のホームスクール~
ホームスクーラー、教育機会確保法を考える
一条校
学校教育法
第一章総則 第一条
この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
この条文から、いわゆる「学校」を一条校とよぶ。
夜間中学校
中学校既卒者(形式卒業者)が夜間中学校に再入学を希望する場合の対応の通知が出されたのは平成27年(2015年)。
政府は、現役不登校の中学生も、夜間中学に受け入れが【現行制度上】可能であると示した。
(※この現行制度上とは、2016年施行した確保法成立以前を指す)
デモクラティック
「多くの日本人が、民主的だと考えている概念の多くが、実際は、民主的と言うよりもむしろ、日本的な考え方である。その事に日本人は気がついていない。そこに、日本の民主主義の問題点があるのである。」(文頭抜粋)
指導要録
参考として文科省HPに記入様式は公開されているが、各自治体の小中校の連続的な連携に伴い、教育委員会により様式は異なる。ホームスクールの学習は学校教育の義務教育(学習指導要領に沿った教育課程)とはみなされていないため、成績の評価対象にはならない。指導要録は、保護者には求められなければ基本的には開示しない記録で、進学先や転学先に児童の情報としてわたされ、学校で保管される。
在学する児童・生徒の学習及び健康の状態を記録した書類の原本。学校に作成・保管義務(学校教育法施行規則、保管は原則5年。学籍に関する記録は20年)。
<第24条>(指導要録)
(1)校長は、その学校に在学する児童等の指導要録(学校教育法施行令第31条に規定する児童等の学習及び健康の状況を記録した書類の原本をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。
(2)校長は、児童等が進学した場合においては、その作成に係る当該児童等の指導要録の抄本又は写しを作成し、これを進学先の校長に送付しなければならない。
(3)校長は、児童等が転学した場合においては、その作成に係る当該児童等の指導要録の写しを作成し、その写し(転学してきた児童等については転学により送付を受けた指導要録の写しを含む。)及び前項の抄本又は写しを転学先の校長に送付しなければならない。
※指導要録取り扱い
※指導要録参考様式
出席扱い・学習評価
授業を受ける以外での学習状況は学習要録の記録上の出席とみなすことができる。記載方法は出席日数の横に、出席扱いとなった日数が括弧書きされる。学習評価は、保護者への連絡として使われる通知表では「ホームスクールのため評価できません」と記入することは可能だが、学校間の連絡として使われ、長期間保管される指導要録の記録には「1」あるいは最低評価で記入される。ただし学校長判断により、評価に差し替えるか、文章として記録されることもあり、交渉次第ともいえる。
これは一般に内申書とよばれる内容に採用される内容ではあるが、卒業要件に出席日数や成績は影響されない。高校進学時では地域あるいは各高校により内申と受験結果をどのくらいの割合でどのように判断するかは異なるので、必ずしも必須なものでもない。不登校枠の受験では自己推薦書の作成(成果物、ポートフォリオ)が有効だ。大学受験を想定する場合は、むしろ高認の成績結果が内申の代わりとして判断されることを考慮したい。
※学習指導要領「生きる力」 学習評価に関するQ&A(文科省HP)
※不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について(通知)平成17年7月6日⇒廃止
※不登校児童生徒による学校以外の場での学習等に対する支援の充実 ~個々の児童生徒の状況に応じた環境づくり~平成29年2月13日
※高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について(通知) 平成21年3月12日
※不登校児童生徒が自宅において IT 等を活用した学習活動を行った場合 の積極的な対応について(事務連絡)平成30年10月 1日
※小・中学校等における病気療養児に対する同時双方向型授業配信を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について(通知)平成30年9月20日
※「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日
出席簿
第25条 校長(学長を除く。)は、当該学校に在学する児童等について出席簿を作成しなければならない。
ホームスクールで通学していないことを理由に教室に机を置かないことや、げた箱等に名前を記載しないこと、学級通信等に名前を記載しないことなどは可能だが、教室内に保管される出席簿には名前は記載され、それは生徒や保護者も、教室に入る機会があれば、誰にでも見ることができる。(自治体および学校によって異なる。)
通知表
通知表は家庭通信。普通教育として学校教育を選ぶ家には、学校教育の学びを補完する家庭教育が期待されている。
通知表はこどもの学校での様子を知るてがかりであり、今後の家庭での学習補助や支援、生活習慣を補うことなど必要と思われる内容を検討する資料として扱われてよく、成果や結果主義にならない判断と分析が必要。
学校生活を基軸としないホームスクールやフリースクール生、オルタナティブスクール生の家庭では特に活用することができないと家庭が判断する場合、作成をしないよう伝えることができる。なぜなら通知表の評定はあくまで学校生活における生徒の状況を教師が確認し、総合的に観点別評価することで可能なのであり、自宅学習についてはその範囲を超えて評価対象にはなりえないからである。一部の提出物等のみを評価するならば評定は低くならざるを得ない。
保護者に対して子どもの学習指導の状況を連絡し、家庭の理解や協力を求める目的で作成される。法的な根拠はない。
作成、様式、内容等はすべて各学校長の裁量。
※小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)平成31年3月29日
出席停止
※参考 note『休校要請から~その④ 休校特別措置「出席停止」ってなんですか?』
就学義務制度・教育義務制度
※参考
はじめにⅠ 就学義務制度の現状 1 就学義務の問題領域 2 教育義務と就学義務 3 就学義務の不履行による問題 Ⅱ 就学義務と就学保障 1 不登校児童生徒の就学義務 2 障害を持つ児童生徒の就学保障 3 外国籍の子どもの就学問題 Ⅲ 就学義務制度の課題 1 就学義務に関わる諸課題 2 就学義務の方向性と学校選択 おわりに
家庭教育支援 こども・子育て支援
文部科学省 【 家庭教育支援 】とは
「家庭教育」とは,家庭内で行われる教育的行為のことであり,一生涯にわたり,発達段階・年齢等に応じ,自らの資質向上のために継続的に学習するという「生涯学習」の一つである。たとえば,親が子どもに対して行う“しつけ”などがあり,親や保護者が子どもに対して施すものである。
そして,「家庭教育支援」とは,それを「支援」する
ということであり,その対象は親(保護者)になる。
子育て=自分育て=親自身の学びを支援すること
教育分野が行う「家庭教育支援」は,親(保護者)が安心感と自信をもって家庭教育を施し,子どもとともに成長するための学びを支援することである,成人教育の一つの領域である。
子どもとその親を対象とした体験学習の機会提供,「親の学び」の提供,公民館・福祉施設で行われる家庭教育学級等をさす。
厚生労働省 【 子ども・子育て支援 】とは
児童福祉・厚生分野が行う「子育て支援」は,主に乳幼児をもつ保護者を対象としており,子育て支援サービスが中心である。また,いじめ,引きこもりなど問題を抱える子どもへの支援や虐待から子どもを保護する支援など,子どもに対する直接的な支援が行われている。
例:
~子育て家庭への支援~
①相談支援体制の充実・強化
②子育て家庭の経済的負担の軽減
~子育てと仕事の両立支援~
①多様な保育サービスの充実
②職場環境と労働条件等働く環境の整備
~援助を要する子どもたちへの支援~
①虐待,いじめ,不登校の子どもたちに自立支援策の推進
②母と子の健康づくりの支援
⇒親が子どもを育てるために必要な資金や教育能力を行政等社会全体で財政的・教育的・福祉的に支援することをいい,児童手当,育児休暇,公民館・福祉施設で行われる乳幼児学級等をさす。
参考資料 『家庭教育をめぐる現状と課題(PDF)』
解説noteマガジン